基準改定

 指数の項で説明したように経済統計の指数は、多数の種類の財・サービスの集合として作成されているので、指数化して時間変化を比較するにはある時点の品目数量構成に合わせる必要がある。基準時の数量構成で比較時の集合的な価格を評価する物価指数がラスパイレス指数である。
 消費者物価指数は、家計の消費構造を一定のものに固定し、これに要する費用が物価の変動によってどう変化するかを指数値で示している。すなわち、基準年を設定し、基準年に比べてどれだけ物価が変化したかを表している。世帯が購入する品物は、新しい商品(財やサービス)の出現や嗜好の変化等によって時代と共に変化し、基準年を長い期間固定すると、次第に実態と合わなくなる。そのため、一定の周期で、指数に採用する品目とそのウエイトなどを見直している。このように、基準年を一定の周期で新しくすることを「基準改定」という。鉱工業生産指数など指数で表す統計は、一定周期で、採用品目の見直し、ウェイトの算出や業種分類の見直しなどの基準改定を行っている。
 通常、国勢調査の年を基準年とし、5年毎に基準改定されている。基準年を指数の100とする。
 国民経済計算では、基準(年)改定は、平成14年11月に連鎖方式の導入に伴い、3つの概念に分類された。それまで基準年という概念には、(1)『国勢調査』、『産業連関表』等重要な基礎統計の入手や新たな推計概念の導入を踏まえた名目値のベンチマークとなる年、(2)実質値・デフレーターにおける指数算式のウェイト統合の基準となる年、(3)デフレーター = 100 となる実質値の基準となる年、という3つの意味があった。現在(1)はその年の名目推計値が国民経済計算体系の基準値となるという意味で「体系基準年(benchmark year)」、(2)は「基準年(base year)」、(3)は「参照年(reference year)」と整理されている。
 体系基準年の改定は、SNA推計の基礎となっている『産業連関表』が5年ごとに公表されるのに合わせて行われる。産業連関表以外でも『国勢調査』や『住宅・土地統計調査』等の確報、確々報時では入手できない統計も利用される。また、同時に固定基準年方式に伴う参照年の改定も、実質値の推計基礎となる価格の基準年次の切り替えも合わせて行われる。

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