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増減・指数

(1)指数

 指数は、経済統計では時系列データを相対的にわかりやすくする目的で使用され、比較の基準となる時点の数量に対して他方の数量を比率の形で表す。消費者物価指数や景気動向指数など多方面で使われている。


[1] 指数化の意味
 指数にすると、通常は比較できない時系列変化を比較できるようになる。例えば次のような場合、価格の変化を比較することができるようになる。
   (価格)   牛肉  500円 → 600円 (100円上昇)
          りんご 300円 → 350円 (50円上昇)
   (指数)   牛肉     1 → 1.20
          りんご    1 → 1.17


[2] 経済統計の指数
 経済統計では、1つの種類の指数が問題になることはまずなくて、消費者物価指数などは、多数の種類のものの集合として指数が表される。このような場合時点によって、価格×数量の内容が異なっている。物価指数の場合価格の変化を見たいわけであるから、異時点の品目別の数量を同一にして比較する方法が考案されている。基準時の数量で比較する方法をラスパイレス型、比較時の数量で比較する方法をパーシェ型という。次にそれぞれの算式を示す。なお、両方式を折衷したフィッシャー型がある。


 ラスパイレス指数は、基準年の消費生活をするのに必要な購入費用が現在どれだけ増えたかを示すもの、ということができる。
 一般的に基準年から離れるほど比較時点における財・サービスの相対価格は拡大し、相対価格が低下した財・サービスの需要は拡大するため、固定した基準年の価格や数量のウェイト構造が次第に不適切となる。物価指数の場合、ラスパイレス型は上方バイアス、パーシェ型は下方バイアスの問題が生じる。
 なお、数量の変化を見たい場合には、価格を固定した数量指数が用いられる。数量指数の例としては、鉱工業生産指数などがある。


[3] 指数の接続
 指数は基準年から離れるほどウェイト構造が不適切となるので、5年ごと(国勢調査の年)に基準年を取りなおし、指数を構成する品目を入れ替える。当然ウェイトも変わる。そのとき、前の基準年による指数と後の基準年による指数に断層が生ずることがある。


 指数の連続性を確保するために、何らかの方法で断層がなくなるように接続する。 リンク係数などを用いて接続する。リンク係数は、断層前のある期間中の旧基準の平均指数と新基準の平均指数の比として算出する。毎月勤労統計ではギャップ修正と称し、過去に遡って少しずつ調整している。この方法は、調査対象を固定している間に調査対象の陳腐化が起こり(相対的に開設時期の古い事業所ばかりが対象となり、新設された事業所の状況が反映されていない)、集計結果が正確な状況から少しずつずれてきたという考えに基づくものである。


(2)増加率と寄与度

 増加率は、比較時数値の基準時数値に対する増分の割合である。変化率、増減率などともいう。特に国内総生産の対前期増加率は経済成長率という。

 増加率の寄与度は、全体の統計値の変化に対して各構成要素がどれだけ影響(寄与)しているかを表すもので、各構成要素の寄与度(%ポイント)の合計は統計値全体の増減率と一致する。つまり、寄与度をみることで、どの構成要素が全体の増減率の変化に大きく寄与しているかを知ることができる。寄与率はその構成比である。
 国内総生産のように全体に対してその構成要素があるとき、全体の増加率に対する構成要素の増加率の割合を寄与率という。また、全体の増加率に対して各構成要素の寄与率を掛けたものを寄与度という。

(3)対称変化率

増加率は、比較時の基準時に対する増分の割合であったが、対称変化率は、分母に比較時と基準時の平均をとる。
対称変化率

 数値が100から110に増加したとき増加率は10%、数値が110から100に減少したとき増加率は▲9%。同じ10の変化で基準時と比較時が入れ替わっただけなのに増減率が異なる。対称変化率では、これを同じ変化率として扱うことができる。景気動向指数(CI)で用いられている。

(4)用語の使い分け

 増減を表す用語は微妙なニュアンスの違いがあって、概ね次のように用いられている。


 [1] 増加・減少
   人口や事業所数などの実数値を比較する場合に用いられる。
 [2] 上昇・低下・下落
   指数や構成比など、比率を比較する場合に用いられる。なお、価格は指数ではないが、上昇・低下・下落が用いられる。物価は指数である。
 [3] 拡大・縮小
   数値の差や構成比の時系列変化を比較する場合に用いられる。
 [4] ポイント
   指数の時系列変化や構成比の時系列変化を記述する場合、指数自体の差やパーセント自体の差をポイント、パーセントポイントという。
   なお、2つの時点の指数の増加率をいう場合は○%増加という。


  <例[1][2]>   世界貿易量(TWM)を10%増加または減少させる。
             公定歩合(RDIS)を10%上昇または低下させる。
  <例[1][2]>   財Yの価格が低下上昇)すると、財Xの需要が減少増加)する。
  <例[3]>    Googleのシェアは、その後着実に拡大した。
  <例[3]>    金と白金の価格差は、前日から87円近く拡大し778円となり、
  <例[2][3][4]> 生鮮食品を除く総合の前年同月比の下落幅は0.3ポイント 拡大
            (3月▲1.2% → 4月▲1.5%)

  もっとも、次の先生と学生の問答のように、人によって感じ方は異なるようである。この例では比率に対して「(の値)」と補うことによって数値化して理解している。


  (学生)先生の末文にあります「炭水化物が分解してもアルカリ度は不変、pHは減少」で、炭酸が増えますからpHは低下ではないでしょうか。


  (先生)確かに減少より低下の方がよいかもしれません。
      しかし、pH(の値)が増加した、減少したと言うこともあるのではないでしょうか。英語では、increase、decreaseです。